統計学

種村秀紀・澁谷幹夫 著
A5判・並製・210頁・定価2000円+税

高等学校で確率・統計を履修していない学生を主な対象として, 行ってきた講義をもとに執筆された統計学の入門教科書

はじめに

現在私たちの周りでは,コンビニやスーパーの販売情報,電子乗車カードの移 動履歴,インターネット通販の購買履歴,ほかにも健康・医療,気象,スポーツな どの幅広い分野でデータが収集されています.例えば,ある病気の新薬による治 療に際し,患者を 2グループに分け,一方には新薬を投与し,他方には偽薬を投 与して,新薬の効果に意味のある違いがあるかどうか検定するという明確な目的 でデータの収集が行われています.このような従来からのデータの収集法に加え, 今日では情報通信技術の進歩により,例えば,医療界でのレセプト情報・特定検診 等情報データベースのような,先を見据えて収集しておけば巡り巡って患者に還元 できるであろうという曖昧な目的でも莫大なデータの収集が行われその蓄積ができ るようにもなりました.このような客観的に存在する大規模データを対象として, そこから新たな知見を引き出し,価値を創造するための科学を支える柱として統計 学が近年益々重要となってきています.特に最近ではデータの整理や計算をこな してくれる優秀な統計ソフトを私たちでも利用できるようになりました.このよ うなソフトはデータと適当な命令を入力すればすぐに結果を出力してくれるとい う手軽さがありますが,なぜこのデータにこの命令を下せばこのような結果が出 るのかという,ソフトの奥にある統計学の仕組みを理解していなければ大変な事 態を招く恐れがあります.そこで本書は,統計学を利用する人ならば身に付けて おかねばならない使い方と仕組みを一からわかりやすく解説する目的で書かれま した.基となっているのは,著者が千葉大学,日本大学,一橋大学で行ってきた, 高等学校で確率・統計を履修していない学生を主な対象とした統計学の入門講義 のノートです.講義のスケジュールについては目次の後のページをご覧ください.

統計学の考え方や計算法には初学者からするとなじみにくいものがあります. そういうところで読者の皆様が躓くことの無いよう,以下に力を入れて執筆され ました.
 ・ 定理の覚え方・使い方,計算の手順を標語や図を用いて丁寧に説明しました.
 ・節ごとに多くの演習問題を付け,そのすべてに解答例を詳しく載せました    (付録B).
 ・統計ソフトRを利用した度数分布表,グラフ,数表の作成法や計算例,検定例を    載せました.
 ・ また,定理の使い方を単純に覚えて使うことに抵抗がある方を対象にすべての定    理の直感的な説明や厳密な証明を載せました.

(以下略あり)

2017年11月                               著者

目次

はじめに
講義の計画例

第1章 統計的方法と記述統計学
  1.1 母集団,標本,標本データ
  1.2 統計量
  1.3 標本データのグラフ表現
  1.4 1変量の度数分布表とヒストグラム
  1.5 度数分布表からの標本平均,標本分散,四分位数
  1.6 相関関係
  1.7 2変量の度数分布表からの標本相関係数

第2章 確率の基本概念
  2.1 標本空間と事象
  2.2 事象の演算
  2.3 確率の定義
  2.4 確率の性質
  2.5 条件付確率
  2.6 独立
  2.7 ベイズの定理

第3章 確率変数と確率分布
  3.1 確率変数
  3.2 確率分布
  3.3 確率変数の期待値
  3.4 確率変数の分散

第4章 二項分布とその他の離散分布
  4.1 二項分布
  4.2 ポアソン分布
  4.3 幾何分布
  4.4 離散一様分布

第5章 正規分布とその他の連続分布
  5.1 一様分布
  5.2 指数分布
  5.3 正規分布
  5.4 対数正規分布
  5.5 カイ二乗分布
  5.6 t分布
  5.7 F分布

第6章 母集団と標本分布
  6.1 標本平均の期待値(平均)と分散
  6.2 積率母関数とその性質

第7章 正規母集団からの標本抽出と標本分布
  7.1 正規母集団の標本平均
  7.2 正規母集団の不偏分散

第8章 大数の法則と中心極限定理
  8.1 大数の法則
  8.2 中心極限定理

第9章 点推定と区間推定
  9.1 点推定
  9.2 区間推定
  9.3 母平均の区間推定
  9.4 母分散の区間推定
  9.5 母分散の比の区間推定
  9.6 母比率の区間推定

第10章 推定量の性質
  10.1 不偏性
  10.2 有効性
  10.3 一致性
  10.4 最尤推定量

第11章 検定の考え方
  11.1 検定の手順
  11.2 母平均の検定
  11.3 母分散の検定
  11.4 母分散の違いの検定
  11.5 母平均の違いの検定
  11.6 母比率の検定

第12章 実用的な検定と推定の諸手法
  12.1 適合度の検定
  12.2 正規分布の適合度の検定
  12.3 独立性の検定
  12.4 2種類の誤り,検定力
  12.5 回帰分析
  12.6 母回帰係数の推定
  12.7 誤差の分散の推定

第13章 補充問題

付録A 数表
付録B 問題解答例
  B.1 第1章の解答例
  B.2 第2章の解答例
  B.3 第3章の解答例
  B.4 第4章の解答例
  B.5 第5章の解答例
  B.6 第6章の解答例
  B.7 第7章の解答例
  B.8 第8章の解答例
  B.9 第9章の解答例
  B.10 第10章の解答例
  B.11 第11章の解答例
  B.12 第12章の解答例
  B.13 第13章の解答例
参考文献
索引