テキスト理系の数学2 微分積分

小池 茂昭 著
A5判・並製・336頁・2800円+税

本書は大学初年度の理系学生向けの微分と積分の教科書.内容は,実数・数列・級数・連続性・1 変数関数の微分積分・多変数関数の微分積分であり,標準的である. 著者のページ

まえがき

本書は大学初年度の理系学生向けの微分と積分の教科書である. 内容は,実数・数列・級数・連続性・1 変数関数の微分積分・多変数関数の微 分積分であり,標準的である.「微分積分」が主目的なので実数から連続性まで は,最小限の内容にするよう心がけた.また,1 変数関数の微分積分は「基礎 編」「応用編」を独立させた.基礎編では,すでに高校で(証明なしではあるが) 習った題材は証明を付録にまわした. 微分の基礎編・応用編,積分の基礎編・応用編という順番で勉強してもよい (多くの講義では,そのような順番で行っている).数学科以外の学生向けには, 応用編に時間をかけることも可能であろう.多変数関数の微分積分は,1 変数と は配列が異なっている.多変数関数の微分は基礎編と陰関数定理の2 本立てに し,積分は基礎編と変数変換に分けた. 多くの微分積分のテキストにある「微分方程式の初歩」「ベクトル解析」「曲 線と曲面」には触れないことにした.それらは,本シリーズの別のテキストで 扱っているので参照してほしい. 予備知識としては高校数学の「数列・関数・微分・積分」だが,「論理と命題」 もすべての数学に重要である.高校数学との有機的なつながりは,本シリーズの 『リメディアル数学』が参考になる. 2009 年12 月

目次
第 I 部 微分積分への準備

第 1 章 実数
1.1 記号・命題
1.2 実数の公理
1.3 実数の部分集合
1.3.1 上限・下限の性質
1.3.2 集合の定数倍・和
1.4 「連続性の公理」再訪
1.5 問題


第 2 章 数列・級数
2.1 収束列
2.2 数列の基本性質
2.3 部分列
2.4 コーシー列
2.5 級数
2.6 級数の収束・発散の判定法
2.6.1 正項級数
2.7 問題


第 3 章 関数の連続性
3.1 収束・極限
3.1.1 ±∞ での収束・±∞ への発散
3.2 連続性
3.2.1 連続性の基本性質
3.2.2 I 上での連続性
3.2.3 連続関数の例
3.3 逆関数
3.3.1 (狭義) 増加・減少関数
3.3.2 逆関数の連続性
3.4 連続関数の性質
3.5 一様連続関数
3.6 問題


第 II 部 1 変数関数の微分積分


第 4 章 1 変数関数の微分の基礎
4.1 定義と基本性質
4.1.1 導関数
4.2 逆関数の微分
4.3 高階の微分
4.4 平均値の定理・テイラ−の定理
4.5 問題


第 5 章 1 変数関数の積分の基礎
5.1 定義
5.2 基本性質
5.3 原始関数
5.4 置換積分・部分積分
5.5 不定積分・原始関数の例
5.6 問題


第 6 章 1 変数関数の微分の応用(ロピタルの定理・極値)
6.1 ロピタルの定理
6.2 極値(1 変数)
6.3 問題


第 7 章 1 変数関数の積分の応用(不定積分・広義積分)
7.1 様々な不定積分の求め方
7.1.1 有理関数
7.1.2 三角関数を含んだ関数
7.1.3 無理関数
7.2 広義積分
7.3 問題


第 8 章 関数列
8.1 一様収束
8.2 積分と関数列の極限の交換
8.3 問題



第 III 部 多変数関数の微分積分


第 9 章 R からR~N へ
9.1 R~N の点
9.2 R~N の部分集合
9.3 多変数関数の連続性
9.4 行列のノルム
9.5 最大値ノルム
9.6 問題


第 10 章 多変数関数の微分の基礎
10.1 偏微分可能・全微分可能
10.2 高階偏微分・高階偏導関数
10.3 合成関数の偏微分
10.4 テイラーの定理
10.5 問題


第 11 章 陰関数定理とその応用
11.1 陰関数定理
11.2 極値(多変数)
11.3 条件付極値
11.4 問題


第 12 章 多変数関数の積分の基礎
12.1 直方体上の積分
12.2 有界集合上での積分
12.3 累次積分
12.4 広義積分
12.5 問題


第 13 章 多変数関数の積分の変数変換
13.1 変数変換
13.1.1 変数変換の公式(定理13.1) の N =2 での証明
13.2 問題


第 IV 部 付録


第 14 章 追加事項
14.1 1 章 実数
14.1.1 否定命題の作り方
14.1.2 必要条件・十分条件
14.1.3 実数の公理(b), (c)
14.1.4 有理数の稠密性
14.1.5 実数べき乗の定義
14.2 2 章 数列・級数
14.2.1 上極限・下極限
14.2.2 実数べき乗の性質
14.2.3 実数の構成
14.2.4 判定法の改良
14.2.5 絶対収束
14.2.6 乗積級数
14.3 3 章 関数の連続性
14.3.1 左右極限・左右連続
14.3.2 はさみうちの原理
14.3.3 逆関数の連続性(定理3.10) の区間I が一般の場合の証明
14.3.4 上極限・下極限と上半連続・下半連続
14.4 4 章 1 変数関数の微分の基礎
14.4.1 e の無理数性
14.4.2 コーシーの剰余項
14.4.3 テイラー展開
14.5 5 章 1 変数関数の積分の基礎
14.5.1 ダルブーの定理
14.5.2 積分の平均値の定理
14.6 6 章 1 変数関数の微分の応用
14.7 7 章 1 変数関数の積分の応用
14.7.1 絶対積分可能
14.7.2 三角関数の解析的な定義方法
14.8 8 章 関数列
14.8.1 微分と関数列の極限の交換
14.8.2 アスコリ・アルツェラの定理
14.9 9 章 R からR~N へ
14.9.1 境界・内部・外部
14.9.2 連結性
14.9.3 多変数関数のアスコリ・アルツェラの定理
14.10 10 章 多変数関数の微分の基礎
14.11 12 章 多変数関数の積分の基礎
14.11.1 N 次元球の体積
14.12 13 章 多変数関数の積分の変数変換
14.12.1 変数変換の公式(定理13.1) の N > 2 での証明
14.13 初等関数の性質


第 15 章 各章の証明
15.1 1 章 実数
15.2 2 章 数列・級数
15.3 3 章 関数の連続性
15.4 4 章 1 変数関数の微分の基礎
15.5 5 章 1 変数関数の積分の基礎
15.6 6 章 1 変数関数の微分の応用
15.7 9 章 R からR~N へ
15.8 11 章 陰関数定理とその応用
15.9 12 章 多変数関数の積分の基礎
15.10 13 章 多変数関数の積分の変数変換